てんかんは小児から高齢者まで、どの年齢でも発症する可能性もあり、長期的な治療が必要となる疾患である。てんかん発作に対する治療が主体であるが、日常生活あるいは社会参加にあたって、不安や悩みも多く支援が必要な患者も多い。てんかんセンターに従事する様々な職種が具体的にどのような支援を行うべきか、現状と課題を議論する。

てんかん外科は薬剤抵抗性てんかんに対して、てんかん発作の緩和や消失を目指すことで患者のQOLの改善を目指す。しかし、術後の後遺症への不安、周術期の精神症状への対応、術後の社会参加あるいは復帰に対しては院内外の多職種の連携が必要である。精神症状を有するてんかん患者および外科的治療を行う患者のQOL改善を目指した取り組みや課題を多職種の立場で議論したい。

小児期発症のてんかんは60-70%で小児期に寛解を得られるが、一部は成人期へ移行後も発作が持続し、約20％で生涯発作が持続するとされる。また、発作が持続する患者の中には重症心身障害児（者）、知的障害や発達障害など様々な合併症を有する方、なども一定数存在する。これらの患者においては、小児期での日常生活や学校生活などでの支援の充実が必要なのはもちろん、その病態の複雑性から成人年齢に達した後の成人診療科への移行（トランジション）も大きな課題となっている。これらの課題の解決においては、小児科のみでの解決は困難で、多診療科、多職種での連携が重要になってくる。本シンポジウムでは、小児診療科、成人診療科、患者支援スタッフ、など各々の立場から、小児てんかん診療、トランジションにおける問題点を挙げ、その解決に向けて議論を重ねたい。

高度なてんかん診断、心因性非てんかん発作の診断および外科的治療を担うてんかんセンターでは長時間ビデオ脳波モニタリング検査が行われている。最近では非けいれん性てんかん重積に対する救急医療においても注目されている。時には抗てんかん発作薬を減薬し発作の記録も行うために、「安全性」が求められる。さらに高い「脳波記録の質」も必要とされる。患者や家族の精神的および身体的負担も大きい。各施設における検査技師および看護師の取り組みについて紹介し、地域格差のないビデオ脳波モニタリングの普及を期待する。