第11回日本結節性硬化症学会学術総会

会長挨拶

第11回日本結節性硬化症学会学術総会
会 長:市川 智継
(香川県立中央病院 主任部長 脳神経外科診療科長)

 この度、第11回日本結節性硬化症学会学術総会の会長を拝命しました香川県立中央病院脳神経外科の市川智継です。毎年、多数の分野の先生方、多数の患者さんとご家族の方にご参加いただき実りある回を重ねている本学術総会を私どもが主催させていただけることをたいへん光栄に存じます。今年も、皆様のご協力で、活発な議論を交わすことができればと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
 結節性硬化症は、全身の臓器に多様な病変を形成し、全年齢にわたり多診療科での継続的な治療を要する特殊な疾患です。また小児期から成人期への移行に伴う診療科の変更も必要になります。本学会は、各領域の最新の情報を発信し、それを会員で共有することによって知識を高め、そして成果を患者さんに還元するためのものであり、まさに各領域の連携をとるための学会でもあります。一方で、診療科間での情報共有と連携のために、本疾患に特化した診療連携システムが全国で運用されています。私ども香川県立中央病院においても2018年に診療連携チームを立ち上げました。そこで、本学会のテーマは「れんけい」とし、メインシンポジウムでは、患者さんのニーズに対応できる診療システムの構築と更なる発展を目指して、皆さんとディスカッションできればと考えています。また、このような診療連携の重要性を改めて認識するに至ったのは、疾患横断的治療薬であるmTOR阻害薬の登場であったことも事実です。結節性硬化症に対するmTOR阻害薬が2012年に日本に導入されて10年になりますが、その間に、診療連携システムの進歩のみならず、診療ガイドラインの改定、治療のパラダイムシフトなどがおこり、結節性硬化症診療において大きな変化をもたらしました。今この時に10年を振り返り、その軌跡を辿り、今後の結節性硬化症診療の展望を考える機会になればと思い、mTOR阻害薬に関するシンポジウムも開催予定です。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、しばらく現地会場での参集がままならぬ状況でしたが、やはりface-to-faceでの討論と交流に勝るものはないと考え、また、社会も落ち着きを取り戻しつつある現状を鑑みて、今回は現地会場のみでの開催といたしました。9月は気候のよいときですので、皆様にはぜひ香川へお越しいただき、実りある学会にしていただき、そして秋の香川、四国をお楽しみいただけたらと思います。
 本学会が、皆様のご発展と患者さんのよりよい将来を切り開くきっかけになるよう祈念して、ご挨拶とさせていただきます。