2020年度全国公正研究推進会議

日程表

日程表(PDF)
※各セッションの概要や登壇者の情報は上記の日程表(PDF)からもご確認いただけます。
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サテライト・イベント企画1(研究倫理教育担当実務者向け)

「コロナ禍でどのように研究倫理教育を行うか」
昨年度のサテライト・イベント企画1では会員機関の取組み例や現場での課題・ 対処法などをご紹介頂き、活発な意見交換が行われ、終了後には大勢の方が名刺交換をしていました。今年度はコロナ禍で名刺交換はできませんが、大変ご好評をいただきましたこのイベントを継続してオンラインで開催し、現場の問題意識に基づいた情報共有と意見交換を行います。COVID-19 が世界規模で蔓延している今、研究倫理に携わる中で皆様それぞれが新たな課題に直面していることと思います。本企画では、「研究活動を“支援”する」という観点から、研究倫理教育・研究公正を取り巻く問題や様々な取組みについて、今後の活動に役立つ情報交換等の場にして頂けたらと思います。
共同座⾧:戸谷秀一(APRINコーディネーター/信州大学医学部公正研究推進講座コーディネーター)
副座⾧:APRIN事務局
話題提供:「信州大学における倫理教育の取組とコロナ禍への対応」
高橋亮吉(信州大学研究推進部 研究支援課 主査)

サテライト・イベント企画2(研究者・研究倫理指導者向け)

「研究公正の風土の定着のために」
研究公正の世界会議(World Conference on Research Integrity)では大会ごとに何らかの原則や計画を発表しています。2019 年香港大会で検討され、後に正式に発表された「香港原則」は、業績評への競争を研究不正の一因とみなし、機関内での研究者の行動を適切に評価する必要性を訴えています。これは近年、研究計量の分野で提唱され、広く支持されている「ライデン宣言」に通じるものです。
果たして、このような動きは日本の研究機関の実情に適用できるものなのでしょうか。すでに取り組んでいるとしたら、それと研究不正の関係はどのように考えられるのでしょうか。研究の公正性を推進するために必要な取り組みを識別するため、本イベントでは参加者の皆様から各研究機関での状況に関する情報や皆様の印象を収集し、議論してみたいと思います。
座⾧:野内 玲(APRIN客員研究員/信州大学医学部公正研究推進講座助教(特定雇用))
提題:野内 玲(再掲)

2020年度全国公正研究推進会議 全体会(開会)

開会挨拶:岸 輝雄(APRIN 会⾧、新構造材料技術研究組合(ISMA)理事⾧/東京大学名誉教授)
来賓挨拶:丸山 智(文部科学省科学技術・学術政策局 人材政策課 研究公正推進 室⾧)

基調講演1

「データシェアリングによる医療の課題解決と生命倫理の4 条件:新型コロナ研究を例として」
1つの病院で抽出されるデータを活用するだけでなく、多くの病院や研究機関が協力し、ブロックチェインやコンソシアム方式でデータをシェアできれば、新型コロナの変異株情報をナレッジベース上でほぼリアルタイムで共有できる。英国が変異株情報の把握を迅速に行えるのは、国全体が同一のゲノム解析コンソシアムを構築してきたことと、患者の生命と財産を守るためには、疾病流行時に患者のデータを使えることが法律で定められていることが大きい。では日本はどうか?慶應大学病院では90例の変異株情報を11月に国際データベースに公開し、11月24日にmedRxiv に日本の第2波~第3波を構成したと思われる変異株のNon-synonymous mutation を同定、公表した。臨床タグ情報を一括して研究に使うことによって多くの患者の命が救える可能性を否定することは、生命倫理の第3原則、第4原則に反することではないか?講演では実体験に基づいてそういった議論ができれば幸甚である。
末松 誠(慶應義塾大学医学部医化学教室 教授)

基調講演2

「安全保障輸出管理の経緯、現状と課題について」
教育・学術研究機関において国際交流活動は欠かせないものである。一方で機微な科学技術情報等が外国へ流出することが懸念されており、安全保障輸出管理への対応が求められている。研究開発成果の大量破壊兵器等への転用防止、研究の健全性・公正性の自律的な確保といった観点から、科学技術情報の流出対策が必要とされている。
安全保障輸出管理は、教育・学術研究機関の国際交流活動におけるリスクマネジメントの一環と見ることができる。安全保障輸出管理は日本の教育・学術研究機関では10年前頃から取り組みが開始した。本講演ではこれまでの経緯、現在の状況と課題を紹介する。最近の米国、中国の覇権競争により安全保障は厳しさを増しており、日本にも影響が及んで来ているが、これらの動向も併せて視る。
中田修二(東海大学総合科学技術研究所 客員教授)

分科会1 医生命科学系分科会

「COVID-19 に学ぶ緊急時の研究倫理」
COVID-19 のパンデミックに対して、世界各国が国を挙げて、治療薬およびワクチンの開発を進めており、国の支援を受けて急ピッチで開発を進めている状況にある。治療薬やワクチンへの国民の期待は強く、国はそれらの開発に迅速性を求めざるを得ない状況にある。
特に、今年春の第一波においては、我が国全体がパニック的な状態に陥り、COVID-19 に係る研究者や医療者もかつて経験したことのない大変な状況に陥ったのは承知の事実である。一方、安全性や有効性が十分に確認されていない試験薬やワクチンを使用される研究対象者の安全の確保は不可欠である。パンデミックという緊急事態にて行われる研究は迅速性と研究対象者保護の両立という研究倫理的に困難な課題をクリアしなければならない。
本シンポジウムでは、COVID-19 研究に実際に携わっている研究者、法倫理社会的課題(ELSI)の専門家というCOVID-19 研究に関わる様々な立場の方に講演をしていただき、COVID-19 研究に係る研究倫理上の課題、および解決策について考えていきたい。
座⾧:飯島祥彦(名古屋大学医学部附属病院 医学研究・臨床倫理推進室 特任准教授)
副座⾧:福嶋義光(信州大学特任教授(医学部))
演者:「アビガン試験で見えた緊急時の研究の信頼性における構造的課題」
新谷 歩(APRIN 医生命科学系分科会委員/大阪市立大学大学院医学研究科医療統計学講座 教授)
「COVID-19 観察研究」
土井洋平(藤田医科大学医学部微生物学講座・感染症科 教授)
「新興感染症流行時の治療薬・ワクチンの研究開発に対する市民意識について」
中田はる佳(国立がん研究センター生命倫理・医事法研究部 研究員)

分科会2 理工学系分科会

「COVID-19 の経験から得た研究・教育の新たな課題」
理工学系分科会委員⾧からの最近の活動状況の報告につづいて、COVID-19 の経験を通して顕在化した専門家の発言・行動および教育機関や授業での感染対策の課題を議論する。
専門家の発言・行動については、COVID-19 への発言の中には社会的混乱を招いたケースもあり、専門者の倫理的行動への課題を改めて明らかにする。
教育機関での感染対策については、大多数の教育機関ではパンデミックへの備えが無かったことで教育現場に混乱を招きその対策に多大な苦労を経験したが、その事例として東京都市大学での対応と今後の課題を紹介する。また、全国のほとんどの大学がオンライン教育を採用したが、その様々な経験を共有して改善を図る活動として行われた国立情報学研究所主催の20数回におよぶシンポジウムでの内容を紹介し、今後のネットワーク活用の可能性や課題を明らかにする。
座⾧:三木哲也(APRIN 理工学系分科会委員/電気通信大学名誉教授)
副座⾧:依田照彦(APRIN 理工学系分科会委員/早稲田大学名誉教授)
演者:「理工学系分科会の活動報告」
池田駿介(APRIN 理工学系分科会委員⾧/(株)建設技術研究所 研究顧問)
「COVID-19 関連の研究発表、研究者の行動に学ぶ専門家の情報発信の在り方」
掛谷英紀(APRIN 理工学系分科会委員/筑波大学システム情報系 准教授)
「東京都市大学における教育研究のCOVID-19 への対応」
皆川 勝(東京都市大学建築都市デザイン学部 教授)
「高等教育における遠隔授業の経験と今後の課題」
喜連川優(国立情報学研究所 所⾧/東京大学 教授)

分科会3 人文学・社会科学系分科会

「コロナが変える?コロナで変わる?人文学・社会科学における研究公正と研究の質」
2020年のコロナ禍によって、人文学・社会科学系の学会や研究会、シンポジウムも大きく様変わりした。通常5月、6月に集中する学会の大会については、開催時期を(時に大幅に)ずらしたうえで、オンラインに切り替えるところが多かったようだ。その後もオンラインによる学会運営は確実に広がり、今に至る。オンラインという新たな手法は、人文学・社会科学系の「研究の質」とどのように関わっているのだろうか。たとえば、フィールドワークのように、対面を当たり前としてきた研究者はコロナ禍とどのように向き合ってきたのだろう。
窪田幸子氏(日本文化人類学会会⾧・神戸大学教授)による「コロナ禍におけるフィールドワーク研究の実施と課題(仮)」という興味深い話題提供を受けたのち、分科会の議論を広く人文学、社会科学の研究実践に開き、オンラインと研究の公正性との関係を検証してみることにしよう。
座⾧:井野瀬久美恵(APRIN 人文学・社会科学系分科会委員⾧/甲南大学文学部教授)
副座⾧:野内 玲(APRIN 客員研究員/APRIN 人文学・社会科学系分科会委員/信州大学医学部 公正研究推進講座助教(特定雇用))
演者:「コロナ禍におけるフィールドワーク研究の困難と課題」
窪田幸子(神戸大学大学院国際文化学研究科 教授)
「学会運営に見るオンラインの功罪」
井野瀬久美恵(APRIN 人文学・社会科学系分科会委員⾧/甲南大学文学部教授)

分科会4 中等教育における研究倫理の教材作成分科会

「高校生のコンテスト参加と研究の公正性」
中等教育と大学教育との橋渡しとして、高大連携、科学コンテスト、サイエンスキャンプなど様々な取り組みがなされている。こうした現場では、研究倫理に関連して様々な課題があることが認識されている。APRIN中等教育における研究倫理に関する教材作成分科会では、中等教育における研究倫理「基礎編」(2018年12月)、続編の「実践編」(2021年1月予定)を刊行し、関連の活動をしている。今回は、「高校生のコンテスト参加と研究の公正性」をテーマとし、中等教育の現場や中等教育と大学教育の接点の等で活発に活動されている方々のお話を伺い、現場から見える中等教育における研究倫理の問題点や取り組むべき事柄などを議論する。また、コロナ禍で研究教育環境が大きく変容していることから、この観点からの議論もし、今後の研究倫理教育のあり方を探る。
座⾧:岩本光正(APRIN 中等教育における研究倫理の教材作成分科会委員⾧/東京工業大学教育・国際連携本部 特任教授)
副座⾧:進藤明彦(APRIN 中等教育における研究倫理の教材作成分科会委員/神戸大学アドミッションセンター 特命准教授)
演者:「コロナ禍での高校における学習形態の変化と課題研究指導」
冨永蔵人(市川学園高等学校SSH 部・理科 講師)
「高校生/高専生の科学・技術コンテストと研究倫理」
藤田明人(朝日新聞社 教育総合本部教育事業部 担当次⾧)
「高校生の科学研究と研究倫理」
町田武生(埼玉大学大学院理工学研究科名誉教授)
「コロナ禍の高大連携の課題と研究倫理」
進藤明彦(再掲)

2020年度全国公正研究推進会議 全体会

パネルディスカッション「COVID-19 を経験した世界のニューノーマルな公正研究と教育」
(分科会の報告を含む)
司会:浅島 誠(APRIN 理事⾧/帝京大学学術顧問・特任教授)
パネリスト(基調講演、分科会座⾧): 中田修二、飯島祥彦、三木哲也、井野瀬久美恵、岩本光正
閉会挨拶:浅島 誠(APRIN 理事⾧/帝京大学学術顧問・特任教授)