第22回大阪病院学会

学会長挨拶

第22回大阪病院学会
学会長:加納 繁照
(一般社団法人大阪府私立病院協会 副会長
 社会医療法人協和会 加納総合病院 理事長)
 2年おきに開催される大阪病院学会は、本大会で第22回を迎える大阪で医療に携わる医療従事者にとって聖地ともいうべき学会ですが、2年前の第21回大会は、新型コロナの感染拡大の勢いが増し、会場に予定していた大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)が自衛隊大規模ワクチン接種会場として使用されたこともあり、止む無く原則ウェブ開催とし、一般演題や特別講演などはオンデマンド配信に変更しての開催形態となりました。新型コロナウイルス感染症に係る多くの行動制限が解除され、感染症法の取扱いが2類から5類への引き下げが決定したことから、本大会は従来通りの開催形態に戻すことができました。この3年間、私たち医療従事者はその最前線で闘ってきたわけですが、参加される皆様がコロナ以前の形態で晴れて日頃の研鑽の実力を発揮できることを大変うれしく思っております。ここに至るのも、ひとえに皆様の3年以上にわたる新型コロナウイルス感染症との闘いの賜物であり、改めて敬意を表し感謝申し上げる次第です。
 今回の学会テーマは「あるべき日本の医療、示そう大阪の病院から」を掲げさせていただきました。団塊の世代が後期高齢者に到達する2025年に向けて地域医療構想の協議が進められてきたわけですが、さらに高齢者人口がピークに近づく2040年に向けて「地域完結型」医療・介護提供体制を構築するための様々な検討が進められています。在宅が中心となるものの入退院を繰り返し(厚労省では「ときどき入院、ほぼ在宅」という表現)、最後は看取りが必要となりますから、入院医療で「治す」ことに特化した機能だけでなく、在宅医療や外来医療を含め「治し、支える」医療が必要とされることになり、医療介護の連携、まさに多職種が全員参加して一丸となり課題に取り組むチーム医療が本領を発揮する時がきました。大阪は古くから商人の町として栄えてきました。お上からのお達しで動く武家社会とは異なり、ひとりひとりが創意工夫を重ね、ボトムアップさせてゆく土壌を有しています。人口構成の大きな変動は、医療にとり新しい領域に直面するわけですが、そこであるべき姿をぜひとも大阪から示せればこれほど誇らしいことはありません。
 今回は厚生労働大臣の加藤勝信氏を招聘し、基調講演をお願いしました。加藤大臣は、新型コロナウイルス感染症の発生とアフターコロナに向けた感染症法上2類から5類への引き下げという、100年に一度と言われるパンデミックにおいて歴史上大きな節目で陣頭指揮をとられた大臣ですから、非常に貴重なお話を拝聴できることになります。
 本学会が充実した期間となることを祈念しております。