日本精神障害者リハビリテーション学会 第30回岡山大会

大会長挨拶

日本精神障害者リハビリテーション学会 第30回岡山大会
大会長:山田 了士
(岡山県精神科医療センター 副理事長)
 この度、日本精神障害者リハビリテーション学会 第30回岡山大会を2023年12月2日(土)、3日(日)の2日間、倉敷市芸文館にて開催させていただくことになりました。大会テーマは「暮らしのためのリハビリテーションを問い直す」といたしました。30回の節目という記念大会を担当させていただくこと、まことに光栄なことと存じます。私自身含め今回の主催者は本学会に貢献してきたわけではございませんが、手探りながら理事会はじめ多くの皆さまのお力添えを頂いて、是非意義ある大会にしていきたいと存じております。

 リハビリテーションは暮らしに繋げていくものであることは疑いないところですが、その目指すところの暮らしとは一体どのようなものなのかという問いがあります。精神科リハビリテーションは、一方では自立した生活を目指す動的な復活への道であり、また他方では安心できる居どころを見つけるための静的な安定への道でもあるでしょう。実際の患者さんの個々の目標は、それら静と動の間のグラデーションの中のどこかにあって、時と状況によって常に変わっていきます。医療や福祉の提供者は、個々の患者さんについて事情を聞いた上で方策を考えるわけですが、ややもすると物語を勝手に作り上げて納得し、固定した物語の方を患者さん自身より(悪意なく)優先してしまうこともあるかもしれません。さらに、医療や福祉には、活動を続けるために無視できないあれこれの都合があり、それが患者さん本来の目標と齟齬を生じることもあります。こうした色々な問題を「問い直す」機会として、特別講演、教育講演、シンポジウム、自主プログラム、研修セミナー、一般演題など、当事者の方々のご助力もいただきながら魅力的なプログラムを作って参りたいと思います。

 会場の倉敷市芸文館は、倉敷美観地区に隣接しており、日本最初の私立西洋美術館である大原美術館や、倉敷アイビースクエアなど観光資源が豊富な立地にあります。是非空き時間に付近を散策して、リフレッシュしていただければと思います。
 2020年から本学会はオンラインのみの開催でありましたが、今回は3年ぶりに現地のみの開催といたします。時勢を語るに際して「先行き不透明」という言い回しは陳腐なほど使われてきましたが、今ほど不透明な時期は生まれてこの方経験がないように思います。そうした中であるからこそ、皆さまと対面でお会いし親睦を深めるという、そのことだけでも、暗い世の中の一条の光となってもらえたらと切に願う次第です。
 どうぞ、皆さまにおかれましては、会員非会員問わず奮ってご参加いただき、倉敷でお目にかかれますことを主催者一同心より願っております。