第38回日本分娩研究会

会長挨拶

第38回日本分娩研究会
会長:齋藤 益子
(関西国際大学保健医療学部 教授/東邦大学 名誉教授)
 この度、第38回日本分娩研究会を開催させて頂く事となりました。
ここ数年、COVID-19感染状況が続いており、第6波の感染者は子どもからお年寄りまで幅広く、また死亡する方や重症化する方も多く油断できない状況です。妊産婦の方の感染者もあり、現場の周産期医療に直接関わっていらっしゃる皆様のご苦労は如何ばかりかと拝察いたします。その様な中で多くの皆様にご参加頂き本研究会を開催することができますことを心から感謝申し上げます。
 開催様式については理事の先生方とも協議させて頂きまして、3年ぶりに対面で開催できればと思っています。しかし、7月から8月の感染状況によっては、WEB開催になることもあるかもしれません。その時は改めてご案内いたしますので、ご了承頂ければと思います。
 2021年のわが国の出生数は84万2897人と昨年より約3万人の減少で、年々減少の一途を辿っています。同年の死亡数は145万2289人で自然減少は60万人以上になっています。COVID-19感染拡大の影響は人間の行動や生き方、価値観にも大きな影響を与えています。高学歴社会のなかで女性たちが自分の価値を仕事や社会活動に求め、家庭や育児に向かう姿勢が低下しているように感じます。さらに、「出産は痛い、辛い、苦しい」というネガティブな情報から、子どもを産むことを選択しない女性や、最初から麻酔分娩を希望し、自分で主体的に妊娠・出産に向き合う姿勢が醸成されることなく、安易に育児に向き合う姿勢を生みだしており、育児不安など産後のメンタル面での問題が派生しています。
 今回のテーマは、「妊産婦の産む力・育てる力を育む妊娠・分娩期の関わり」と致しました。教育講演は「出産の痛みを科学する」のテーマで①陣痛はなぜ痛いのか、②出産はなぜ心地よいのか、と大阪大学の遠藤誠之先生と松﨑政代先生にご講演を頂きます。ワークショップは、「分娩経験を心地よいものにするために」のテーマで、3人の講師の先生にお願いしています。シンポジウムは「分娩管理と医療安全―母体と胎児に優しく安全な出産」のテーマで、ご講演及びディスカッションを予定しています。
 今回は、改めてお産の原点ともいえる「気持ち良くリスクを回避した分娩のあり方」を追求していきたいと考えています。
 3年ぶりに対面での開催ができますことを期待して準備を進めております。終了後はオンデマンドも予定していますので、多くの皆様にご参加頂けることを願っております。
 最後になりましたが、開催にあたり多大なご支援を頂いております医療機関、関連企業の皆様、ご多忙の中でご講演を頂きます講師の先生方に心から御礼申し上げます。