第23回日本認知療法・認知行動療法学会

ご挨拶

第23回日本認知療法・認知行動療法学会 会長
岡本 泰昌
(広島大学大学院 医系科学研究科 精神神経医科学)
この度、第23回日本認知療法・認知行動療法学会を2023年12月1-3日(金-日)の3日間、広島市にて開催させていただくこととなりました。本大会のテーマは、『認知行動療法;「今、ここ」から「未来」へ』としました。本テーマには、いくつかの思いを込めました。
一つ目は、先達の積み重ねがあってわれわれは「今、ここ」にあるということです。本大会も前進の第1回認知療法研究会が1998年3月に、第1回認知療法学会が2001年10月に開催され、その後、連綿と続いてきました。そういったなか、これまで永年にわたって理事長を務めてこられました大野裕先生が昨年度大会で退任され、本大会は藤澤大介新理事長での初の大会となります。そこで、今回は、学会の最初期からわが国の認知行動療法を牽引されてきた先生方にお願いし、「過去」を教えて頂き、「今、ここ」から「未来へ」向けて、次世代がなすべきことを考える機会としたいと考えています。また、認知行動療法が、もはや医療だけでなく、教育、産業保健といった幅広い領域に展開していること、また実施者も医師や臨床心理士だけでなく、看護師、薬剤師、作業療法士、教師など多様性に満ちていることを踏まえ、未来に向けて大会をまたがる継続的な委員会企画も積極的に組み込んで行きたいと思います。
二つ目は、認知行動療法は、「今、ここ」にある問題に焦点をあて、どのような要因がその問題を起こしているのか、分析し理解します。その上で、現実的な目標をたててそれを達成することで、問題の解決を目指します。この原則を「認知行動療法そのもの」に当てはめ、認知行動療法の「今、ここ」での課題や問題点を整理、理解し、認知行動療法の「未来へ」向けてどのような目標をたてていくべきかを考える機会としたいと思います。
三つ目は、マインドフルネスで用いられている「今、ここ」で、瞬間、瞬間に目の起こることを価値判断せずに、観ること(あるいは注意を向けること)です。おそらく今大会は、ここ数年来のわれわれが悩まされてきたcovid-19感染症問題から開放され、久々の対面実施を中心としたライブ感のある学会運営が可能となる見込みです。是非、広島の地にお越し頂き、「今、ここ」で行われる講演、シンポジウム、発表を、リアルな体験として存分に感じて頂ければと思います。この体験を積み重ねが、未来へつながって行くのではないかと考えています。
この季節の広島は、海の幸、山の幸など食べ物が一年中で最もおいしい時期です。昼には学会で勉強にどっぷりとつかり、夜にはお好み焼き、汁なし担々麺、松茸、牡蠣をはじめ郷土料理に舌鼓を打つのはいかがでしょうか。会場となる「広島県医師会館」はJR広島駅のすぐそばで、少し足を延ばせば、世界遺産「宮島」までおおよそ40分です。この機会に、学会のみならず、広島を楽しんでいただければと存じます。
皆さんをお迎えするべく、教室員をはじめ広島認知行動療法勉強会のメンバーが中心となり一生懸命準備しているところです。多くの方々のご参加と演題応募を心からお待ちしております。