大会長挨拶
第49回日本自殺予防学会総会 開催にあたって
第49回日本自殺予防学会総会
大会長:稲垣 正俊
(島根大学医学部精神医学講座 教授)
大会長:稲垣 正俊
(島根大学医学部精神医学講座 教授)
この度、2025年9月に出雲市で第49回日本自殺予防学会総会を開催する運びとなりました。テーマは「広がる生きづらさに向き合う:自殺予防における効果的アプローチの実現へ」といたしました。このテーマには、現在の自殺予防対策が抱える複雑で広範な課題に正面から取り組み、より実効性のあるアプローチを模索し、社会全体での協力体制を強化する必要性が込められています。
自殺予防に関しては、生きづらさを抱える人々、特に精神障害を持つ方々に対するハイリスクアプローチが重要視されてきました。しかし、それだけでは自殺に至る前段階の多様な問題に十分対応できているとは言えません。背景にある心理・社会的な問題は、時に複雑に絡み合い、どの問題にどのように優先的に取り組むべきか、また、どの領域で知見が不足しているのかといった俯瞰的な視点が欠けている現状があります。そこで本総会では、こうした多様な課題を整理し、効果的な対策を明確にするための議論を進め、今後の道筋を見出すことを目指しています。
会場となる出雲市は、日本の神話や伝統に彩られた特別な地であり、特に出雲大社は縁結びの神として知られる大国主大神を祀る場所です。神々が集まる「神在月」でも知られるこの地は、人と人との絆を深め、互いの繋がりを大切にする文化が息づいています。この場所で、自殺予防のための新たな繋がりや協力の形が生まれることを期待しています。大会ポスターには出雲大社の「うさぎ」の写真を用いています。出雲大社で見つけてみてください。
参加者の皆様と共に、広がる生きづらさに真正面から向き合い、より良い未来を築くための一歩を踏み出す場にしたいと願っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。