日本医療検査科学会第38回春季セミナー

ご挨拶

日本医療検査科学会第38回春季セミナー
例会長:大川 龍之介
(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 臨床分析・分子生物学)
 日本医療検査科学会第38回春季セミナーを開催するにあたりまして、ご挨拶を申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症は、世界に未曽有の大打撃をもたらした一方、臨床検査の重要性を再認識させた出来事でもありました。2023年5月8日から「5類感染症」に引き下げられましたが、未だ終息はしておらず、今夏には流行の第9波に至っています。たとえ終息したとしても、その後も同様のパンデミックはいつ起きても不思議ではなく、世界各国が手を取り合って、再流行に備える必要があります。臨床検査の分野においても、コロナ禍により新たに構築した体制を維持し、さらに発展させることが肝要です。またパンデミックのみならず、我が国では将来の労働人口減少、超々高齢化社会への突入、医療・介護従事者のニーズの増加などに備えて、AIやIoT、ロボットなどの急速に発達している新たな科学技術を巧みに取り入れ、来たる時代に備えるべきです。
 第38回春季セミナーは副例会長 金沢大学 大江 宏康先生のご協力のもと、2024年4月14日(日)に金沢市文化ホールで開催いたします。テーマは「臨床検査のオープンイノベーション」とさせていただきました。上記のようなデジタル経済に伴う技術革新の流れをつかみ、我が国における正確な診断、最適な治療、最良のヘルスケアに寄与するためには、産学のより強固な連携が益々必要になります。産学連携は本学会の強みであるとともに、本会の果たすべき役割の一つと考えております。また、もう一つ開く(オープン)べき窓として、世界への窓がございます。急速に進歩する臨床検査の情報をつかみ、また我が国の優れた技術を海外へ発信するために、ヨーロッパ諸国やASEANで行われているような密な国際交流、国際連携の必要性が増してきております。
 このようなテーマをもとに、特別講演として国際医療福祉大学大学院長 矢冨 裕先生から、「病院検査部を中心とした産官学連携による、肝線維化マーカーであるオートタキシンなどの体外診断薬の臨床実装」について、教育講演として金沢大学 副学長 松本 邦夫先生からは、「金沢大学発 ベンチャーキャピタル ヴィジョンインキュベートと未来知実証センター」についてご講演いただきます。また、上記の課題に取り組むべく、産学連携および国際連携をテーマとした2つのシンポジウムを企画しております。
 是非、多くの皆様に全国からご参加いただき、少しでも新たな発見や他の医療従事者、研究者との出会い・交流の場となることを心より願っております。なお、新型コロナウイルスに関して、現地においては感染対策に十分配慮しながら開催いたします。
 金沢の4月は、犀川、浅ノ川、兼六園の桜の季節が終わり、ツツジが咲き誇る季節です。1年で一番過ごしやすい季節でございます。また、年中を通して、山海の幸を楽しめます。ポスターの写真は、金沢駅前にある「鼓問」です。別名「おもてなしドーム」と言われており、このシンボルとともに、多くの皆様と金沢にてお会いできることを心よりお待ちいたしております。