市民公開講座
ご挨拶
小畑 秀登
山口県済生会下関総合病院 呼吸器内科
「SDGs」という言葉をテレビの報道番組や新聞・ネットニュース記事でよく見聞きしています。環境や社会問題への取り組みとしてこの言葉が使われています。あるラジオ番組で自分にとってのSDGsを具体的に述べるコーナーがあります。個人個人やチームで具体的にとりくめるSDGsを見つけて実現することは大切なことです。
日本呼吸器学会は、1999(平成11)年度から8月1日を「肺の日」に、2007(平成19)年度から5月9日を「呼吸の日」に制定しました。日本呼吸器学会では、この両日のいずれかを中心、市民の皆様に「健康的で持続可能な人生」を送っていただけるために呼吸器疾患についての最新の情報を伝え全国各地で市民公開講座などを開催しています。日本呼吸器学会のSDGsは「市民の皆様に肺の病気に関する信頼できる情報をわかりやすくお伝えする。そして、病気やけがで周囲の人たちに迷惑をかげずに生活して健康的で持続可能な人生を送っていただく。」ことだと考えております。その市民公開講座を、一般社団法人日本呼吸器学会中国・四国支部および公益財団法人日本呼吸器財団の共催で、本年度は山口で開催させていただくこととなりました。
呼吸器の病気には、肺癌、気管支喘息、COPD、間質性肺炎、感染症、睡眠時無呼吸などの様々な病気があり、病気に関する新しい知見が積み重ねられ、新しい治療が開発されています。しかし、病気はなくなるわけではありません。情報の入手はインターネットで容易になっていますが、その情報について100%信頼をおくことはできません。「病気についてどこまで解明できているのか、どこまで治療できるのか」について、基礎的および臨床的な医学研究に基づいた正確な知識を得ていただくことはとても重要です。その目的で、専門の先生方から、現在の診療の考え方や、新しい治療を解説していただきます。
今回は睡眠時無呼吸のテーマで講座を開催させて頂きます。人は人生の約1/3ほどの時間は睡眠にあてています。夜眠れないという症状は、誰でも経験のあることです。そのなかで、睡眠中の呼吸障害のため慢性的に睡眠不足の状態にある人は日本でも人口の1%(約100万人)近くいることが推定されます。重篤な人では、日常の活動低下にとどまらず、心臓病、脳血管障害などの合併症を起こし健康寿命を短くすることが知られています。睡眠時無呼吸を正しく知り、正しく対処できれば健康的で持続可能な生活を送ることができます。講座に参加されて皆様の健康ライフを増進させてください。