ご挨拶
第21回日本胎児治療学会学術集会 会長 豊島 勝昭 神奈川県立こども医療センター 新生児科 |
この度、第21回胎児治療学会学術集会を、2025年2月28日(金)から3月1日(土)に横浜駅前の崎陽軒本店で開催させていただきます。私は新生児科医ですが、第1回から参加し、9年前から幹事として胎児治療学会に関わってまいりました。本学会は、産婦人科、麻酔科、小児外科、小児循環器科、新生児科、母性内科など様々な診療科の医療者が集い、胎児治療という最先端の医療について、倫理的な側面も含めて語らう場です。様々な診療科で胎児治療を学び語らうことは、新生児医療の課題に気づく貴重な機会でもありました。今回、小児科医として胎児治療の学術集会を担当することに重責を感じつつ準備を進めております。
今回の学会のテーマは、「Fetus as a Patient ~それぞれの尽力と連携で胎児治療を届けたい~」としました。胎児診断の普及は、重症児の出生直後からの診療機会を増加させましたが、最重症児への胎児治療や出生前診断の進歩は、妊娠家族や周産期医療チームに混乱をもたらす側面もあります。「患者としての胎児(Fetus as a Patient)」という意識を共有し、診療科の枠を超えて母児それぞれの命に向き合う周産期医療を目指したいと考えています。
これまでの胎児治療は、双胎間輸血症候群、胎児不整脈、胎児胸水、先天性横隔膜ヘルニアなど、生後治療が困難な疾患を対象とし、救命率を向上させてきました。近年では、大動脈弁狭窄症や脊髄髄膜瘤といった疾患に対する胎児治療が、救命のみならず長期予後の改善を目指す段階に進化しています。本学会では、これらの胎児治療の現状を共有し、その普及とさらなる進化を目指していきたいと考えています。
特別講演では、カナダ・アルバータ大学のLisa Hornberger教授をお招きします。Lisa Hornberger教授は、先天性心疾患における心臓超音波検査を用いた胎児診断の世界的なパイオニアであり、胎児治療の現状と倫理的側面についてもご講義いただく予定です。
また、一般演題には予想を大幅に上回る61演題の応募をいただきました。この中から、「脊髄髄膜瘤」「胎児診断と家族支援」「胎児水腫(胎児胸腔シャント術)」の3つのシンポジウムを企画しました。さらに、ランチョンセミナーでは、胎児心電波形やBiplane法を用いた胎児超音波診断の新技術について講演を予定しています。
胎児治療の実施には、適切なタイミングでの胎児診断が不可欠です。早産となる可能性を伴う胎児治療では、新生児医療との連携が重要です。また、胎児治療を受けた子どもたちの発達支援や家族支援には、小児医療従事者の理解と協力が必要です。本学会を通じて、胎児治療の現状を共有し、多くの医療者の皆様とその未来を考える貴重な機会となればと願っています。
会場は横浜駅前に位置し、新横浜駅、東京駅、羽田空港から1時間以内でアクセス可能です。多くの一般演題の発表により会場が混雑する可能性もありますが、周産期医療や小児医療に関わる皆様のご参加を心よりお待ちしております。