第39回日本総合病院精神医学会総会

会長挨拶

第39回日本総合病院精神医学会総会
会長 岩田 正明
鳥取大学医学部 脳神経医科学講座 精神行動医学分野 教授

第39回日本総合病院精神医学会総会
会長 岩田 正明
鳥取大学医学部 脳神経医科学講座 精神行動医学分野 教授

 昨今、精神科医療は専門性の高まりとともに細分化が進み、それに伴い学会の数も増加しています。ためしに、日本精神神経学会のホームページに掲載されている専門医の「単位取得対象学会一覧」(更新日時:2025年6月23日)を参考に学会数を数えたところ、A群が2学会、B群が93学会と、これだけで合計95もの学会が存在していました。さらにC群も含めれば、精神科関連学会の数は一層多くなります。いずれの学会もその存在意義に納得のいくものばかりですが、これほど多いとは正直なところ予想していませんでした。

 学会の存在意義について考えてみると、学会とは、そこに所属する学会員の学術水準や医療水準を高める場であると同時に、社会に向けて情報や提言を発信する集団でもあると考えられます。このように多様な社会的意義を有する一方で、日本は今後、著しい人口減少のフェーズに突入していきます。そのなかで、各学会の真価が改めて問われることになるでしょう。

 日本総合病院精神医学会には専門医制度が設けられています(正式名称:一般病院連携精神医学専門医、略称:精神科リエゾン専門医)。日本精神神経学会は精神科サブスペシャルティとして5つの専門医を認定していますが、精神科リエゾン専門医はその中でA群、すなわち国民にとって分かりやすく、受診の意義が明確な「精神科の中核的・汎用的専門性」を示すサブスペシャルティに位置づけられています。なお、A群にはもう一つ、認知症臨床専門医が認定されています。

 この位置づけは、数ある精神科関連学会の中にあって、我々がその専門性を国民に広く還元していく責任を担っていることを意味します。その責務を果たすためには、専門職同士だけで議論を完結させるのではなく、国民・市民を交え、より幅広い視点で議論を深めていく必要があると考えます。近年では、患者・市民参画(Patient and Public Involvement:PPI)の概念が広く受け入れられており、私たち日本総合病院精神医学会においても、その一歩を踏み出す時が来たと考えました。

 そこで、今回の学会テーマを「市民と共に歩む、総合病院精神医学」としました。これは単なる概念的なスローガンではなく、本学会において一般市民の参加を受け入れるという、具体的な意思を込めたものです。我々の存在がまだ十分に国民に知られていない現状を踏まえると、決して容易な試みではありませんが、これはあくまで第一歩です。今後、我々は日本国民に親しまれる学会となることを目指すべきではないでしょうか。また、市民から寄せられる意見は、必ずや本学会をさらに成長・発展させる原動力になると考えます。

 加えて、今回の学会では、発表において筆頭演者が必ずしも学会員である必要はないという取り決めとしました。我々は専門性を高める努力を続けると同時に、門戸を広く開き、初学者や多職種にも親しまれる学会でありたいと願っています。

 さて、本学会が米子で開催される11月下旬は、ちょうど松葉ガニ漁が解禁される時期でもあります。ぜひ、秋の山陰の豊かな味覚を楽しんでいただければ幸いです。また、お時間が許せば、本学会のポスターを片手にレトロな鬼太郎列車に乗り、懐かしの鬼太郎に会いに出かけてみてください。きっと心に残る思い出の一頁となることでしょう。

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