会長挨拶
このたび、第18回日本血液疾患免疫療法学会学術集会を2026年7月17日(金)、18日(土)の2日間、グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)で開催させていただくこととなりました。
この数年間の間に血液内科において行われる治療は大きく様変わりし、CAR T細胞、二重特異性抗体などいわゆる免疫療法がごくごく普通の治療法として根付きました。また、PNHに対する抗補体薬、ITPに対する各種新規薬剤なども、免疫学の知識がなくては作用機序が理解できない薬剤です。これは大変素晴らしいことであるとともに、臨床医といえども常に基礎免疫学の知識をupdateしていくことが必要な時代になっております。逆に基礎免疫学という観点からしますと、マウスの研究ももちろん大事ですが、実際の患者さんで起こっているダイナミックな免疫反応を科学的に解析することが可能かつ重要になってきており、大きな転換期を迎えています。そこで、本学術集会のテーマを「基礎免疫学と臨床血液学の融合」としました。
多くの血液内科医の先生と基礎免疫学の先生方がタッグを組んで、世界と対峙できるハイレベルなリバーストランスレーショナル研究を行う事が大事であると考えております。そのような観点から、特別講演として、免疫療法を受けた患者の検体を用いた非常にハイレベルでしかも臨床的にも有意義な研究を展開しておられる、University of CalgaryのNizar Bahlis先生および国立がんセンターの西川博嘉先生に特別講演をお願いしました。ぜひ、血液内科の先生方には、ありがたいお話しとして聞くのではなく、実際に自分たちが診療している患者さんの検体を用いて、同じように研究するにはどうすればよいかを考えて頂けたらと思います。逆に基礎免疫学の先生方もそれぞれの専門分野の高い知識・技術をhuman immunologyに応用するにはどうすればよいかを考えていただけましたら幸いです。
“なぜかと問いかける血液内科学”を皆が実践できる素晴らしい時代が到来しています。一人でも多くの方々に大阪へお越しいただき、本学術集会を楽しまれることを心より願っております。
第18回日本血液疾患免疫療法学会学術集会
会長 保仙 直毅
大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学 教授