第46回日本精神科診断学会

会長挨拶

第46回日本精神科診断学会
大会長:中川 伸
(山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学講座 教授)
 このたび、2027年9月25日(土)、26日(日)に第46回日本精神科診断学会を山口県山口市の「維新ホール」において開催する運びとなりました。よろしくお願いします。

 本大会のテーマは「精神科診断学と社会」といたしました。ここには、精神科診断が社会に与える影響と、社会の変化が精神科診断学に与える影響という、双方向の関係を考えたいとの思いを込めています。

 精神科診断は、当事者の状態を理解し、治療や支援の方針を定めるための基盤です。同時に、診断は診察室を越え、司法、教育、就労・就業、福祉など、社会のさまざまな場面で用いられています。診断が本人や周囲の理解を深め、必要な支援への道を開く一方、その意味が十分に共有されなければ、その人への見方や可能性を狭めてしまうこともあります。私たちには、診断の意義と限界を理解し、社会に丁寧に伝えていく姿勢が求められます。

 一方、社会の価値観や生活環境、科学技術の変化は、精神科診断学に新たな問いを投げかけています。ICD-11の日本語版を通じた新たな診断体系の共有は、日々の臨床に加え、診断を活用する社会の側にも関わる課題です。また、生成AIをはじめとする技術の進歩は、診断の支援のみならず、診断基準をどのようにつくり、その妥当性を誰が、どのように確かめるのかという、診断学の根本に関わる議論を促しています。

 本大会では、診断を行う医療者に加え、診断を受ける当事者や、診断を活用する立場の方々の視点を交え、精神科診断のあり方を考えたいと思います。異なる領域の経験や問題意識を持ち寄ることで、日常診療の中では見えにくい課題にも目を向ける機会となれば幸いです。

 大会のポスターには、山口県萩市の松下村塾の写真を用いました。変革の時代に多くの人々が学んだこの学び舎に、学びが社会に働きかけ、社会の変化が新たな学びを生むという、本大会の思いを重ねています。

 本大会が、人を理解し、その人の生活を支えるための診断とは何かを、ともに問い直す場となることを願っております。多くの皆様のご参加と、活発なご議論を心よりお待ち申し上げます。

play_arrow