第52回日本慢性疼痛学会

会長挨拶

第52回日本慢性疼痛学会
会 長:細井 昌子(九州大学病院 心療内科/集学的痛みセンター)
 この度、日本慢性疼痛学会の第52回大会を2023年3月10日(金)11日(土)の2日間にわたり、九州大学医学部 百年講堂で開催させていただくことになりました。
 1992年2月には、第21回日本慢性疼痛学会が、九州大学心療内科の第2代教授である中川哲也先生(現九州大学名誉教授)を学会長として、研究会から学会に昇格した初めての学会として福岡の都久志会館で開催されました。当時Mayoクリニックにおられた丸田俊彦先生にもご講演をいただき交流させていただきましたこともよく覚えております。全国からご参加いただいた先生方との交流が楽しく、そういった刺激を糧に、私も慢性疼痛の臨床・研究・教育をこれまで興味深く続けて参ることが出来ました。
 今回、九州大学心療内科で運営する2回目の慢性疼痛学会になります本学会のテーマを「慢性疼痛難治例とは何か~集い、語ろう、多職種で~」とさせていただきました。私が慢性疼痛研究会の頃から参加させていただき感銘を受けてきたのは、「難治化した慢性疼痛をもつ人の苦悩を救いたい」という温かいハートを持つマニアックな治療者が一同に会して熱心に討論してきた集まりであることです。慢性疼痛治療のプロフェッショナルな集まりであるこの学会で、COVID-19感染で混乱した2023年のわが国における慢性疼痛難治例をどう考えていくか、その上での学会理事からの提言をいただき、九州大学百年講堂の大ホールに一同に会して、リアルにディスカッションするという集まりをメインシンポジウムとして企画いたしました。とくに、理事・評議員の先生には全員参加をお願いし、フロアの学会員と熱い討論を交わしていただきたいと考えております。
 2020年からのコロナ禍で、WEBセミナーが定着し、専門的な知識は学会でまとめてというよりは、「頻回に手軽に少しずつ」学ぶことができることが証明されている昨今、学会で専門家が同じ場所に集まる意味を考えることになりました。4年ぶりの現地開催となります今回の日本慢性疼痛学会は、「慢性疼痛専門家福岡大会議」とも言える風情で、基調シンポジウムやポスター会場、懇親会(および個々のアフター学会@中洲?)の会員同士の交わりの場を設定することに注力しました。医療の専門家として当然の感染対策は行いながら、多職種のスタッフが交流し、日本の慢性疼痛医療を変革していくアイデンティティーを意識化し、大先輩から若手へ「サイエンスとアートの伝承の場」になれば幸いです。学会後にオンデマンド配信もありますが、わが国の心療内科の発祥の地とも言える九州大学病院のある福岡へ、現地参加を心よりお待ちしております。