第52回日本マイコプラズマ学会学術集会

会長挨拶

第52回日本マイコプラズマ学会学術集会
会 長:大石 智洋
(川崎医科大学 臨床感染症学教室)
 2025年5月23日から24日にかけ,岡山県倉敷市において,第52回日本マイコプラズマ学会学術集会を開催させていただきます。私、同学術集会会長を拝命しました、川崎医科大学臨床感染症学の大石と申します。
 新型コロナウイルス感染症の流行下で、感染対策の徹底により、多くの感染症の流行は抑制され、マイコプラズマの一種で、小児や若年成人を中心に肺炎を起こす Mycoplasma pneumoniae の感染症も同様に、その感染症はほとんどみられませんでした。
 新型コロナウイルス感染症の未曽有の流行は甚大な被害をもたらしましたが、同時に多くの方が感染症に注目し、例えば「PCR」などのことばもかなり周知されることとなりました。
 ユーキャン新語・流行語大賞をみても、新型コロナウイルスの流行が始まった2020年では、大賞となった「3密」をはじめ、10位までに約半数が感染症に関することばでありましたが、2023年の同大賞においては、感染症に関することばほぼ完全に姿を消しております。
 しかしながら、昨年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行後、生活様式も通常に戻りつつあり、それと共に多くの感染症において再度の流行拡大がみられており、前出の Mycoplasma pneumoniae 感染症においても2024年前半より増加を認めており、感染症には引き続き注意が必要です。
 またいつ新たにどんな感染症が起こるかはわかりません。新型コロナウイルスの流行で、特にウイルスについて大きな注目が集まりましたが、マイコプラズマは細菌の一種ですが、細菌の中でも最も分子量の小さな微生物であり、例えば Mycoplasma pneumoniae による肺炎を例にとりますと、抗菌薬で改善しますが、新型コロナウイルスによる肺炎のような免疫性の肺炎を起こし、時にステロイドのような抗炎症薬が必要になるという、いろいろな微生物で見られるような特徴を有する微生物であり、感染症起こす微生物の様々な謎を解き明かす鍵が、マイコプラズマには隠れているかもしれません。
 この不思議な生物「マイコプラズマ」について、農学・理学・獣医学・医学のそれぞれの専門家が、いろいろなマイコプラズマの研究につきその成果を発表する場である本学術集会に是非、多くの皆様に学会にお越しいただき、様々な討論をしていただき、また、学会の合間には、倉敷美観地区の、タイムスリップしたかのような素敵な風景も併せてお楽しみいただけることを楽しみにしております。