会長挨拶
第63回中国・四国精神神経学会 会長
髙木 学
(岡山大学学術研究院医歯薬学域 精神神経病態学分野 教授)
(岡山大学学術研究院医歯薬学域 精神神経病態学分野 教授)
中四国の精神神経医療 ~多様性そして繋がる~
第63回中国・四国精神神経学会を、2023年11月10日(金)、11日(土)の2日間にわたり、岡山市において、第46回中国・四国精神保健学会会長の武田俊彦先生とともに開催することになりました。両学会を担当させていただくことを、大変光栄に存じます。
本学会は中国・四国各県が持ち回りで主催する中規模の地方学会であること、精神神経学会と精神保健学会という、主に精神科医が集まる学会と看護・福祉の方が集まる学会が合同開催するという二つの特徴を持ちます。私自身、患者さんの診療で連携したことがある中国・四国の他県の先生方と直に話す機会を得ることや、保健学会で質問をすることで、他の学会では味わうことができない多職種の方と議論することを楽しみに参加して参りました。加えて、本学会は専門医を目指す若手精神科医にとって、初めての学会発表をする登竜門という教育的な側面もございます。若手の先生の発表を、ドキドキしながら笑顔で見守る指導医の先生方を拝見できるのもこの学会の風物詩と言えるでしょう。
新型コロナウイルスの出現は、世界の様々なものを変えました。人が人に気軽に会い語りあう自然な喜びは奪われました。一方、オンラインを用いた新たなコミュニケーション法の発展、家族や個人の小規模の楽しみや暮らしを再考する機会が生まれたのかもしれません。本学会も大きな影響を受け、2020年は中止を余儀なくされました。しかし、2021年は高知県で數井裕光会長、須藤康彦会長が、2022年は鳥取県で岩田正明会長、渡辺憲会長が、参加された皆様とともに工夫と英知を尽くし盛会を成し遂げられました。2023年は、新型コロナウイルス感染症も徐々に収束に向かい、岡山に多くの人が集い、額に汗をかくリアルな緊張感、そして人の温もりを感じながら、知が融合し発展する場となって欲しいと願います。
本学会のテーマを「中四国の精神神経医療 ~多様性そして繋がる~」としました。精神医療は、カバーする社会的領域が益々広がり続け、診療、対象年齢、治療法などどれをとっても多様性にあふれています。そして、これらに関わるメディカルスタッフも自ずと多様な人材が生まれ育つことができる領域と思います。皆様が学会に参加され、互いに繋がることで、新しい喜びを生み出すきっかけの場としたいと思います。
会場は、岡山駅近くの国際交流センターとさせていただきました。宇喜多、小早川、池田と数奇な運命を見守った岡山城は令和の大改修を終えリニューアルし、3大名園の後楽園は日本一の眺望を誇ります。「晴れの国岡山」は山海の幸も豊富、雄町米は日本酒の酒造好適米で有名です。加えて岡山は各県より3時間程度で集合できる地理的メリットがございます。
多くの方に参加していただき、多様な繋がりが生まれる学会にしたいと思います。私達も力を合わせ心からお迎えしたいと思います。ぜひ岡山にお越しくださいますようお待ちいたしております。
第46回中国・四国精神保健学会 会長
武田 俊彦
(岡山県精神科病院協会 会長/公益財団法人慈圭会 慈圭病院 院長)
(岡山県精神科病院協会 会長/公益財団法人慈圭会 慈圭病院 院長)
準備万端整えて皆様のご参加をお待ちいたします。
晴れの国岡山から、第63回中国・四国精神神経学会、第46回中国・四国精神保健学会合同開催のご挨拶をさせていただきます。
カタールのドーハで行われたFIFAワールドカップ2022で、日本チームは第1戦を強豪ドイツと戦い逆転勝利をもぎ取りました。このニュースは、世界を驚かせましたが、私たちはそれ以上に驚きました。ドイツの選手団、そしてドイツ国民の落胆はかなりのものだったようです。そもそもドイツ、スペイン、ブラジルなどの強豪国は、選手層も厚く、それを支えるサポーターやファンの力の入れようも日本の比ではありません。サッカーを支える文化に強烈な熱量を感じます。そして、そのような熱量の高いサッカー文化が強力な選手団を生み出したと言えます。日本でも近年サッカー熱は沸騰してきており、サポーターをも巻き込んだ各チームの熾烈な競争から、世界に通用する選手がたくさん育ってきました。
さて、医療では、専門的知識、技術、そして倫理を含む広い分野で、日々の絶えざる微調整、小さな革新の積み重ねが必要です。学会は、その日頃の成果を持ち寄る相互研鑽の舞台であり、最先端を知り、自分の現在位置を確認する重要な場所です。学会発表者はさしずめ競技会に出場する選手です。一人が研究発表するためには、現場の多くのスタッフがサポーターとして有形無形の支援をしています。発表を聞きに来る参加者は、サポーターやファンと同様、最新情報の交換の舞台に立ち会うとともに、一流選手とも言える我が国のオピニオンリーダーのパフォーマンスに直に触れることができます。学会はこのようにして、参加者の熱量をあげ、研究や臨床医療の発展を後押ししてきました。
本学会は、中国と四国の9県10大学が持ち回りで、原則地元開催で行われます。そうすることによって、地域間交流を促すとともに、中国四国地域、とりわけ開催地域の関係者の熱量の底上げに貢献してきました。新型コロナウイルス感染症が逆風となるこの2年間は、數井裕光会長、須藤康彦会長(高知県)、岩田正明会長、渡辺憲会長(鳥取県)の巧みな運営で学会は成功裡に幕を閉じ、このたび岡山県にバトンが渡りました。今回、テーマは、中四国の精神神経医療 〜多様性そして繋がる〜としました。岡山大会では、会場に集うことを大切にしようと考えています。新型コロナ禍で色々な分野でデジタル化が進みましたが、多職種が一堂に会する学会の重要性はますます認識されています。
岡山県は晴れの国と言われますが、日本一晴天日が多いのは実は香川県です。岡山県は、降水量1mm未満の日が国内で最も多く、それが晴れの国の理由のようです。確かに雨は少ない気がします。それと、最近は岡山弁がじわじわ世に知られるようになってきました。岡山に一歩足を踏み入れて耳を澄ましますと、じゃ、じゃろ、でぇれぇ、ぼっけぇなどnativeの岡山弁が街のそこここから聞こえてきます。初めて出会うとやや耳に痛い言葉ですが、特に女性が軽妙巧みに操るのを耳にすると心地よい意外性が病みつきになります。是非、岡山の学会に参加していただいて、熱量を蓄えていただくとともに、岡山弁もご堪能ください。高木学会長と準備万端整えて、皆様のご参加をお待ちいたします。