第19回日本疲労学会総会・学術集会

大会長挨拶

第19回日本疲労学会総会・学術集会 会長
岡 孝和
国際医療福祉大学医学部 心療内科学 主任教授
国際医療福祉大学成田病院 心療内科部長
このたび、第19回日本疲労学会総会・学術集会の会長を拝命いたしました国際医療福祉大学の岡でございます。今回は2023年6月24日(土)〜6月25日(日)、国際医療福祉大学成田キャンパス(千葉県成田市)を会場として開催する予定です。現時点では、現地開催を予定しております。今回の学術集会のメインテーマは「疲労研究の最前線と、臨床への応用」とさせていただきました。
私は長年、体温調節(感染による発熱とストレス性高体温の共通する機序と異なる機序についてなど)の基礎研究、臨床では不明熱の診療に従事してまいりました。基礎の分野では、発熱の主要な媒介物質が炎症性サイトカインであるとわかると、炎症性サイトカインは発熱だけでなく、疲労をはじめ多彩なシックネス行動を引き起こす原因物質とわかったこと、臨床では、多くの不明熱患者さんを診療する中で、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群に伴う微熱と考えられる患者さんの紹介が多くなったことが、私の疲労研究との出会いでした。
いまなお新型コロナウイルス感染症は終息をむかえる気配はありませんが、新型コロナウイルス感染症罹患後症状としての疲労が社会問題化しています。「新型コロナウイルス罹患後疲労」は疲労研究者にとっても新たなチャレンジです。このような社会情勢から、今こそ疲労、とくに感染後疲労病態に関するこれまでの基礎研究の成果を集結し、臨床現場へ応用すること、そしてそのためのトランスレーショナルリサーチが必要と考え、今回のテーマを決めさせていただきました。基礎科学や各科臨床医学、個人を支える職場や社会支援のありかたを考える産業医学、リハビリテーション医学なども含めた学際的な疲労の理解と集学的な取り組みが求められています。本学術集会が、このような社会のニーズにこたえるものになるようプログラムを検討中です。実り多いものにしたいと考えています。先生方のお力添えをお願い申し上げます。
多くの先生にとって、成田は国際学会に旅立つ時の乗り継ぎの地にすぎないかもしれません(以前は、私もそうでした)が、これを機に、学会はもちろんですが、成田の地も満喫していただきたいと思います。皆様と新設医大のキャンパスでお会いできることを楽しみにしております。
2023(令和5)年1月1日