第7回日本リンパ浮腫治療学会学術総会

会長挨拶

第7回日本リンパ浮腫治療学会学術総会
会長 春田 直樹
医療法人社団仁鷹会 たかの橋中央病院 血管外科部長

 2023年9月に第7回日本リンパ浮腫治療学会学術総会を主管させて頂きます仁鷹会たかの橋中央病院血管外科の春田直樹です。今回の学術テーマを考える時、リンパ浮腫治療を取り巻く環境をはじめ社会生活のあらゆる分野に影響を及ぼしている新型コロナウィルス感染症を抜きには考えられず、「Beyond COVID-19」をキーワードとしました。この新型コロナ感染症防止のため3密(密集、密接、密閉)回避が推奨されておりますが、敢えてスローガンを「手と手を携えるリンパ浮腫治療」といたしました。このスローガンにはリンパ浮腫治療では患者さんとの協力が必須であることと、医療者同士が手を携える多職種連携が欠かせませんという意味も込めました。更にリンパ浮腫治療に用いている複合的治療の手技が有効な疾患として、訪問看護や介護医療でよく診られる下腿の筋ポンプ機能低下により生じる廃用性浮腫や緩和医療分野での全身浮腫が挙げられます。このため今回の総会では四肢リンパ浮腫治療に携わる医療者は元より、訪問看護・介護医療・緩和医療分野にもお声かけして、リンパ浮腫治療で得られた知識・技術を手と手を携えて他の分野に活かす切っ掛けとなればと思います。
 また、リンパ浮腫治療における外科治療法として知られているリンパ管静脈吻合術(LVA)に関してもその術前診断法、術式と日進月歩な報告が国内外からも見られますので、この分野の最先端の知見に関しても是非討論して頂きたいと考えてます。
 この文章を書いている時点では、コロナ感染の第7派はピークを過ぎ、全国のコロナ感染者数は減少しつつあり、国内旅行者も増加に転じ、入国制限も撤廃され海外からの旅行者も増えつつあり、大規模な集客を伴うコンサートイベントや劇場での観劇も再開されつつあります。また私たちの日常生活でも、職場関係や趣味のグループでの少人数の会食も企画されるようになってきて、コロナ感染との微妙な共存状況まさに「With Corona」の状況が築かれつつあります。
 新型コロナウィルス感染は、学会開催形式にも大きな影響を与え、今まで学会現地に赴き対面で発表するのが常識だった学会形式が、web経由で自宅や職場から学会発表したり、発表の閲覧ができることを経験しました。この変化は悪い事ばかりではなく、職場で仕事をこなしながら学会発表や座長をする機会が増え、また、海外を含む遠方の演者にも移動の手間を心配することなくご講演をお願いすることが容易となりました。さらに学会終了後にOn-Demand配信で好きな時間に学会発表を何度でも見直しできることを経験して、従来の学会の忙しさに気づかされました。この様に私自身もここ数年このweb参加による学会参加が身に付きその利点を享受することができましたが、その便利さの影でなにか物足りなさを感じてきました。2022年7月と9月に3年弱ぶりに東京での学会に現地参加いたしましたが、思いがけず仕事の輪が拡がり、来年2023年9月2日・3日に予定している第7回日本リンパ浮腫治療学会学術総会への協力者を募ることができました。まさに対面での学会参加だからこそ実現できた事柄でした。
 新型コロナウィルス感染により今まで当たり前のように旅行をし、見知らぬ人とも気軽に交流できていたことが、如何に自由を謳歌していたのかと言うことに改めて気づかされました。失ってみて初めてその価値に気づくと言いますが、世界規模でこの様な経験を共有することが、悪い事ばかりではなく、今まで「当たり前」と思っていた事柄の価値を地球規模で改めて見直す切っ掛けになりましたし、各国で今まで「当たり前」と思っていた社会の価値を再評価して新しい「当たり前」を作り出す努力が行われております。最近Zoomで拝見したオランダのリンパ浮腫患者さんの訴えは“ I want my life back” であったとお聞きしました。リンパ浮腫に罹患して初めて今まで「当たり前」に身体を維持できたことが如何に価値のあることであったかを体現した言葉と思います。
 総会会場の広島国際会議場は原爆ドームのある広島平和記念公園敷地内にあり、空中廊下で繋がっております広島平和記念資料館にも足をお運び展示をご覧下さい。主会場を予定しております「フェニックス」は、収容人数は1500席以上御座います。敢えて大きな会場を準備いたしましたのは、万が一、再度コロナ感染の緊急事態宣言等が発せられた場合も、余裕をもって現地開催できるようにとの思いであり、是非多数の方に現地参加頂ければと考えております。また広島国際会議場は広島市内の真中に位置し、広島の繁華街(本通り)、飲食街(流川)へのアクセスも良好ですので、是非広島を堪能して下さい。最後に現地参加の服装に関してですが、残暑厳しい季節の開催ですのでカジュアルな服装でご参加下さい。それでは広島でお待ちしております。

arrow_upward