第21回日本婦人科がん分子標的研究会
─婦人科がんを哲学する!─

ご挨拶

第21回日本婦人科がん分子標的研究会
会 長:京 哲
(島根大学医学部 産科婦人科学)
 この度、第21回日本婦人科がん分子標的研究会を2022年12月23日(金)及び24日(土)の2日間、玉造温泉にあるホテル玉泉にて開催させていただく予定となりました。当初予定していた会期をコロナの感染状況を考慮し、延期することとなり、関係各位、ご発表、ご参加予定の先生にはご迷惑をおかけ致しますこと、心よりお詫び申し上げます。
 開催にあたり一言ご挨拶申し上げます。本研究会はもともと日本婦人科テロメレース研究会として発足しました。細胞寿命を規定し、不死化をもたらす酵素であるテロメレースを冠したユニークな研究会でした。その後、テロメレースという狭い領域にとらわれずにターゲットを広げようと現在の研究会に改組され、その第一回は2002年、井上正樹 金沢大学産婦人科教授の下で開催されました。私は当時、教授のイメージした大会を目指し、設営に携わりました。それは研究に高い志を持つ産婦人科臨床医が一同に会し、ざっくばらんに心置きなくdiscussionができる研究会を目指すというものでした。敢えて金沢の街中ではなく、合宿をイメージして郊外のホテルにて、各演題とも時間無制限のトークにしたところ、プログラム進行は遅れに遅れ、最後の特別講演の先生の出番が夜の9時頃になってしまい、大汗をかきました。無謀なことをしたものです。しかし、かつて経験したことがないほどのdiscussionが展開され、会終了後も各部屋に散らばって、深夜まで熱いトーク(宴会?)が随所で行われていたのを目撃しました。このような会は研究者の情報交換のみならず、大いなる親睦、交流の場となり、参加下さった若手の先生方には、研究の思わぬ副産物を体験いただいたと確信しました。
 その後20年が経ち、本学術集会を主催させていただくこととなりました。第一回を思い出しながら、そのコンセプトを踏襲した企画にしたいと思い、鋭意準備をしております。コロナ禍はまだまだ先が読めない状況ですが、現地での開催を予定しております。日頃ご多忙の先生方にゆっくりとお疲れを取っていただき、英気を養っていただけるよう、玉造温泉での宿泊をベースにした会としましたので、楽しんでいただければ幸いです。
 本学術集会研究会のテーマとして「婦人科がんを哲学する!」を掲げました。研究はやっていても、聞いていても、面白くなければ話になりません。臨床を主としていた若手が研究を始める際、研究が面白いと思うためには何が必要でしょうか?分子生物学に関する最低限の基礎知識は必要ですが、論文を読み、講演を聞いて、些細な事象に囚われずに、「ああ、なるほど、つまりそういうことだったのか」と本質を捉えて理解すれば俄然面白くなります。これはある意味、哲学的な思考過程によってもたらされると言えます。哲学者の苫野一徳氏は、その著書「はじめての哲学的思考」の中で、哲学的に考えることは様々な物事の本質を捉える営みであると言っています。最終的にこの思考過程は臨床にも生かされるはずです。本研究会では、各演者の発表のポイントが浮き彫りになるようなdiscussionを存分に展開し、婦人科癌を哲学して本質に迫っていただきたいと思います。それでは島根にて皆様にお目にかかれますことを楽しみにしております。