第24回日本摂食障害学会学術集会

会長挨拶

ごあいさつ

 第24回日本摂食障害学会学術集会を「エビデンスとリアリズム」をテーマに2021年10月30日~31日(土・日曜)に開催させていただきます。副会長を山下達久先生(からすま五条・やましたクリニック)、野間俊一先生(のまこころクリニック)の2人にお願いしております。本来は現地とのハイブリッドで開催をしたいところですが、予算が限られる中、WEB開催を予定しております。
 サブテーマを「天下の台所大阪で、食の病理を徹底討論」としております。江戸時代には大阪は天下の台所でしたが、今や世界の台所となり、世界各国の人々が訪れる地となりました。小生のクリニックは難波交差点に面しており、毎日、海外からの旅行者が交差点を渡る姿を眺めていました。海外旅行してバーで飲んでいると、横に座るその人が、昨日まで、この難波のバーでおいしく飲んでいたと盛り上がります。皆様には、まさに世界に通じるようになった、大阪人のホスピタリティを体験してほしいと思っておりました。
 しかし、コロナ禍によって風景は一変しました。3度目の緊急事態宣言(2021年5月1日時点)により、百貨店は休業し、再びゴーストタウンと化しました。航空業界は国際交通が通常に復するのに3年を要すると予測しています。まだ、普通に戻るのに時間がかかるようです。
 小生と副会長の3人とも大学人として摂食障害研究を始めましたが、今や街の診療所で摂食障害診療をしております。かつて、エビデンスを発信することに情熱を傾けてきましたが、診療所というリアルワールドで、さらにはコロナ禍という未曽有の災害の中で、エビデンスを実臨床にどう生かすのか、試練の時を迎えております。今まで以上に、摂食障害症状のみならず、パーソナリティ障害、神経発達症、トラウマ、アタッチメントの問題といったさまざまな生きづらさをどう克服するのか、まさにテーマの通りです。そこで、学会員であるかどうかを問わず、精神分析、精神病理、発達性トラウマ障害、アタッチメントの問題の専門の先生方に、討論、教育講演、シンポジウムの形でご参加いただくようにお願いしております。また、症例検討会、ワークショップもWEB開催いたします。コロナ禍が長く続き、WEB開催が多く、徐々に皆様も慣れてこられたと思います。一般演題の先生方も含め、WEB越しではありますが、少しでも有意義な議論ができるように工夫を凝らす予定です。学術集会としてエビデンスを発信するだけではなく、非常時のリアルワールドとどう向き合うか、実際的なものにしたいと思っております。
 プログラムの進捗状況は学会ページに順次公開します。アフターコロナがただただ待ち遠しいばかりですが、今年はWEB開催で大いに議論ができたらと思います。皆様のご参加を、よろしくお願いいたします。

第24回日本摂食障害学会学術集会
会 長:永田 利彦
(壱燈会 なんば・ながたメンタルクリニック)