第20回日本胎児治療学会学術集会

会長挨拶

第20回日本胎児治療学会学術集会
会長 市塚 清健
昭和大学横浜市北部病院産婦人科

 この度、第20回日本胎児治療学会学術集会を2024年1月12日(金)、13日(土)に東京都品川区にございます上條記念館で開催させていただくことになりました。第20回という節目に学術集会を担当いたしますことを光栄に思うとともに、参加された皆様にとって有益な学術集会にしなくてはならないと考え重責を感じております。私自身20年前に中野仁雄会長のもと福岡で行われた第1回から皆勤で毎年参加させていただき、歴代の会長の皆様のおかげで非常にインスパイアされる学会であったと常々感じております。

 さて、今回のメインテーマは「胎児治療と医療安全」とさせていただきました。言うまでもなく胎児治療は母に合併症がなく、児に対しては胎児期に治療を受けることで出生後の予後が改善できて初めて成功したと言えます。成功を収めるには産婦人科、新生児内科、外科、循環器科、泌尿器科、麻酔科など多診療科のみならず看護スタッフ、カウンセラー、臨床工学士、薬剤師など多人数で他職種との機能的かつ機動的な連携、すなわち最良なチームパフォーマンスが欠かせません。チームとしてのメリットとしては場面場面で専門的な人が関わることできめ細かな対応ができる反面、職種間連携の不足により正しくチームが機能しない(チーム機能不全)というリスクも生じます。チーム医療には情報の共有と共通した目的が欠かせません。すなわち、いかに上手くコミュニケーションを行うかなど「医療安全」に含まれる様々な概念が「胎児治療」には強く求められるのではないかと思います。

 近年胎児治療は進化を遂げ、対象疾患も増えつつあります。「テクニカルスキル」の向上に向けた努力は言うまでもなく必要です。他方、上手い連係の取り方やチームを上手に機能させるマネジメント力など「ノンテクニカルスキル」はチーム医療における安全や質の確保には欠かすことができず、胎児治療成功の鍵とも言えると思います。

 本学術集会では「テクニカル」の部分ではドイツマンハイム大学のコール先生をお招きし、我が国でも開始された胎児二分脊椎をはじめとした胎児治療についてご講演をいただく予定としております。「ノンテクニカル」の部分では医療業界同様に安全管理が強く求められるその分野では大の先輩格である航空業界からパイロットなどへの教育に携わっている第一人者の講師の先生をお招きし、一歩先に進んだ医療業界でも役立つ安全管理についてお話ししていただきたいと考えております。

 会場は昭和大学上條記念館であります。いわゆる品川界隈から少し離れていますが、品川駅からは電車で15分程度とそれほどアクセスは悪くないと思います。多くの皆様にとって実りある学術集会となります様医局員一同準備いたしますので多くの皆様のご参加をお待ちしております。

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