第51回日本女性心身医学会学術集会/第36回日本女性心身医学会研修会

会長挨拶

第51回日本女性心身医学会学術集会
第36回日本女性心身医学会研修会
会長 中塚 幹也
岡山大学学術研究院保健学域 教授/岡山大学病院リプロダクションセンター
岡山大学ジェンダークリニック

 第51回日本女性心身医学会学術集会および第36回日本女性心身医学会研修会を,2023年7月29日(土),30日(日)に開催いたします.COVID-19拡大の状況を見つつではありますが,岡山国際交流センターでの現地開催に向けて準備中です.

 本学会は,1972年の日本産婦人科心身症研究会を源流とし,1985年には日本女性心身医学研究会,その後,日本女性心身医学会となり発展を続けています.2022年の第50回の開催を経て,今回は,新たな時代の始まりとなる第51回の学術集会です.また,第36回日本女性心身医学会研修会も併催いたします.産婦人科,精神科,心療内科等の医師・看護師,助産師,保健師,心理士,薬剤師など,心身医学に関わる実践者,研究者,教育者の方々,その多岐にわたる関心に応えるべく,講演,シンポジウム,ワークショップなどを予定しています.

 COVID-19拡大は,日本の従来の医療に対して種々の課題を投げかけています.心身医療に対してもメンタルヘルスの課題,そのケアの重要性を突き付ける形となりました.特に女性では自殺率の上昇が見られており,近年,注目されてきた妊産婦のメンタルヘルスの課題への対応もさらに複雑なものになっています.

 2022年4月には,不妊治療への保険適用が開始され,同時にメンタルケアへの視点が強調されています,厚生労働省は流死産女性への精神支援を行うサポーターの養成を開始,不育症カップルへのメンタルケアも注目されています.また,がん患者のメンタルヘルスの課題としても,妊孕性温存を希望する若年の女性がん患者へのメンタルケアについては十分な対応がなされていません.

 LGBTQ(性的マイノリティ)当事者は人口の5~10%とされています.性同一性障害/性別不合の診療に従事する医師や看護師,心理士の方々はもちろんのこと,広く,本学会の会員の診療や支援活動の場面でも,(ご本人が明らかにしているかどうかは別にして)LGBTQ当事者はその対象となっています.日本女性心身医学会では,近年,性の多様性を考慮し,LGBTQ当事者へのメンタルケアの課題について取り上げています.

 今回の学術集会では「メンタルヘルスと社会:多層的で持続可能な支援に向けて」をテーマとしています.医療のみではなく,種々の社会的課題についても取り上げます.個々の対象への診療や支援はもちろんのこと,メンタルヘルスに関連する医療体制,支援ネットワークについて,特に,本学会員の特色である多様な職能が連携して構築すべき「多層的で持続可能な支援」について議論する予定です.多くの方々からの演題のご登録,ご参加をお待ちしています.

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