第34回ハンセン病コ・メディカル学術集会

会長あいさつ


会長:青木 美憲
国立療養所邑久光明園 園長



 この度、2022(令和4)年11月25日(金)、26日(土)の日程で、第34回ハンセン病コ・メディカル学術集会を岡山で開催させて頂くことになりました。私ども邑久光明園が担当させて頂くのは2011(平成23)年以来の11年ぶりですが、このような機会を与えて頂きありがたく感謝申し上げます。
 全国13施設の入所者は899人(2022年7月末)と減少、平均年齢は88.6歳と高齢化していますが、入所者様が一日一日の貴重な時間を心豊かにお過しになるには、私たちの日ごろのライフサポート活動と人権に配慮した施設運営が不可欠であると考えられます。この1年間の取り組みの成果を持ち寄り、入所者様にとってより望ましい施設をめざしてお互いに切磋琢磨していく機会になればと願っています。
 さて、今回のテーマは「家族の思いを知る-よりよいライフサポート活動のために-」としました。2019(令和元)年6月28日のハンセン病家族訴訟判決により、国の隔離政策によってご家族も差別を受ける立場に置かれたこと、また、隔離政策によって家族間の交流を阻(はば)まれ家族関係を築くことを阻害されたことが認められました。すなわちご家族もまた、国の隔離政策の被害者であることが明らかになりました。この判決から3年以上が経過しましたが、国の隔離政策によって損なわれた入所者様とご家族の関係は十分に修復されたと言えるのでしょうか。入所者様がお亡くなりになった場合に葬儀にご遺族が参列されないケースや、参列されたとしてもご遺骨の引き取りがかなわないケースが見られることは、今も良好な家族関係が構築されていないことを表しているのではないでしょうか。
  入所者様がこれからの時間を心豊かに過ごされるにはご家族との関係修復は避けて通ることのできない課題と考えられます。また、家族関係が良好でないことやご家族への偏見差別が国の隔離政策によるものであることが明らかとなった以上、私たち国の職員にはこうした被害の解消に努める責務があることは言うまでもありません。今回の特別講演には家族訴訟の原告の方と研究者をお招きし、ご家族の思いを学び、私たち療養所職員に求められる役割について考えてみたいと思います。
  最後にコロナ禍の終わりがまだまだ見通せない状況ではありますが、今回は感染対策を講じた上で会場開催を予定しています。皆さまのご参加を邑久光明園職員一同お待ちしています。