MRSAフォーラム2022

ご挨拶

MRSAフォーラム2022
当番世話人 栁原 克紀
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 病態解析・診断学分野(臨床検査医学)、
長崎大学病院臨床検査科/検査部

 MRSA(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)は菌血症、肺炎、皮膚軟部組織感染症、骨髄炎等など全身に感染症を惹き起こしますので、全ての医師が診療します。抗MRSA薬はそれぞれ特徴があり、TDMなども必要になります。選択には薬剤師のサポートが欠かせません。MRSAが検出されるのは、検査室ですが、迅速検査や核酸検査が応用されており、臨床検査技師の役割は重要です。中小病院から大学病院まで院内感染微生物として最多です。ICNをはじめとする看護師が感染対策に尽力してきたため、わが国にMRSAの頻度は減少傾向です。
 このように、MRSA感染症には、すべての職種が深くかかわっています。そのような背景から、テーマは「みんなで考えるMRSA感染症―with /after コロナ時代を模索する」と致しました。新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴い、医療を含む多くのものが一変しました。医療体制の逼迫や経済活動の制限など今まで経験したことがない厳しい状況になっています。一方で、感染対策の徹底や核酸検査の普及など副産物もあったように思います。MRSAをはじめとするAMR(薬剤耐性)への対応が十分なされておらず、AMRのサイレントパンデミックが警戒されています。MRSAフォーラム2022では、皆様の英知を結集して、これからのMRSA感染症を考えたいと思います。コロナウイルス感染症も落ち着いていることを期待して、対面形式で開催いたします。
 会場は、2021年11月に長崎市にオープンした「出島メッセ長崎」です。江戸時代は、鎖国政策が施行されており、海外の考え方や文化は出島から入り、全国に広まっていました。この地から新しい知見を発信できることを期待しております。会場で皆様とお会いできるのを楽しみにしております。