第46回日本血液事業学会総会

総会長挨拶

第46回日本血液事業学会総会 開催のご挨拶

第46回日本血液事業学会総会
総会長 瀧原 義宏
日本赤十字社 近畿ブロック血液センター

 環境変化が起こると、進化によって新たな環境でも生存出来るようになったもののみが結果的に選択されます。進化しなかった種や進化の方向を誤ったものは淘汰されます。一方で、ある形質(生物の一つの特性)が抜け落ち退化してしまうこともあります。退化も進化の一局面です。進化と退化は生物が生き延びるために体得した基本戦略であり、環境が変貌する中にあって無駄のない新たな生存戦略を獲得したもののみが生き延び、結果として残るというのがダーウィンの自然選択説です。一方で、動物園では首や脚が短い麒麟が出現したり、最近では“親知らず”が出てこない者も多い等々の事象は、自然選択説に従って生じた形質変化を見ているとは察し難く、もっと速い速度で形質の変化が顕現するものです。素早い速度をもって変貌(進化または退化)できないと自然界から脱落する掟になっているのかも知れません。日本赤十字社の大塚義治社長(当時)はダーウィンの格言「生き残る種とは変化に最も良く適応したものである」を好んで引用されます。

 1952年の血液銀行としての発足以来、血液事業は、黄色い血、肝炎ウイルス、HIV等々数多の問題に立ち向かうとともに、最近ではラブラッドによる献血予約システムや新しい供給システムの導入も図り、よく進化した事業として確立されつつあります。しかし、生産年齢人口の激減や医療の変貌が目前に迫り来ています。そこで、デジタルトランスフォーメーション(Dx)をはじめとした革新的先端技術を導入することによってどのような次世代の血液事業を創造していけば良いのかについてお話しをする機会になればと思っております。

 2022年秋、ポートアイランドにございます神戸国際会議場でお待ちしております。