日本医療検査科学会第37回春季セミナー

ご挨拶

第37回春季セミナー 開催にあたって

日本医療検査科学会第37回春季セミナー
例会長 藤巻 慎一
東北大学病院 診療技術部 部長

 この度、日本医療検査科学会第37回春季セミナーの例会長として、2023年4月16日(日)に東北大学医学部星陵会館(星陵オーディトリアム、他)において開催いたします。東北地区で本セミナーが開催されるのは2015年GWの桜の時期に弘前で萱場先生が開催された第29回春季セミナーから8年振りとなります。
 新型コロナウイルス感染症の影響が継続するなか、臨床検査のシーズもニーズも大きな変革がありました。医療・検査業界においてはCOVID-19関連の検査機器・試薬の迅速な開発や製造、検査センターや医療機関においては新たな検査機器の導入と立ち上げ、検体採取や迅速な検査体制の構築等、各施設内でも臨床検査が診断および治療、感染対策にいかに重要な役割を担っていたかが実感できたかと思われます。一方で、その体制を維持しつつも、今後のポストコロナ時代の医療体制や臨床検査の運用についても議論が様々な場で議論され、政府からは5月8日に新型コロナウイルスの感染症法の位置づけを季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行する方針が出されたことから、現場検査室の試行錯誤はまだ続くと思われます。
 本セミナーのテーマは「臨床検査の共創(コ・クリエーション)」とさせていただきました。このような「不確実性の時代」において臨床検査に対する臨床ニーズや診療貢献への期待は益々高まってきていると感じます。そして、将来を見据えて更に一歩を踏み出すには、チーム医療体制およびタスク・シェアの視点はもとより、様々な専門的異分野との連携や産学官がタッグを組んで「臨床検査の新しい価値」を創り出す必要があります。また、そのためには「次世代の臨床検査技師」への道標や育成の仕組みが非常に重要だと考えます。
 このような想いをもとに、特別講演として東北大学病院副院長の張替秀郎先生から「臨床検査のこれから」、教育講演として慶應大学病院の松下弘道先生から「臨床検査部からみたがんゲノム医療」、共催セミナーとして東北大学加齢医学研究所の堀内久徳先生から「後天性フォンウィルブランド症候群と臨床検査」をご講演いただきます。どの先生方のお話も今後の臨床検査のあり方の道標となると思います。また、シンポジウムⅠでは「臨床検査の新しい価値つくり」をテーマに東北メディカルメガバンク事業、質量分析技術による新規バイオマーカー開発、遺伝子解析による病態解明、AI技術による画像解析技術の各専門領域のシンポジストと「新しい臨床検査の価値と創造」を討論します。さらに、シンポジウムⅡでは「次世代型臨床検査技師の人材育成のあり方」をテーマに臨床検査技師の人材育成実践者から「ワーク・ライフ・シナジー」、「マネジメント」、「人口減少社会の働き方」を切り口としてこれからの人材育成の方向性を探ります。また、協賛7社による機器展示および機器試薬セミナーも準備しています。
 開催地の仙台は自然豊かな「杜の都」と呼ばれ、名物の牛タンや三陸沖でとれる新鮮な魚介や山の幸が堪能できます。また、この時期は例年であれば桜の見頃を迎える時期とも重なります。是非、全国から多くの皆様にご来仙いただき、本春季セミナーならではのface to faceでの意見交換の場となることを心より願っております。
 なお、新型コロナウイルスの感染状況が不確実であることを配慮して、本セミナーは全プログラムをハイブリッド(ライブ、オンデマンド)で行い、現地においては感染対策に十分配慮しながら開催いたします。
 実り多きセミナーにしたいと思いますので、多くの皆様にご参加いただくことを心より願っております。