第19回日本胎児治療学会学術集会

会長挨拶

 第19回日本胎児治療学会学術集会を2022年12月2日(金)・3日(土)に大阪市にて開催します。大阪での開催は、第2回千葉喜英会長(国立循環器病センター)、第5回窪田昭男会長(大阪府立母子保健総合医療センター)、第17回稲村昇会長(近畿大学)に続きまして、今回で4回目となります。メインテーマは「胎児治療 次の10年を考える」とさせていただきました。どこかで聞いたことのあるフレーズかもしれませんが、真面目に考えた結果でございます。

 本学会員を中心とした多くの方の尽力によって、いくつかの胎児治療は一般医療として提供されるようになりました。現在、双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下レーザー凝固術、胎児胸水に対する胎児シャント、胎児貧血に対する胎児輸血、そして無心体双胎(TRAPシークエンス)に対するラジオ波血流遮断術の4つの治療が保険収載されています。さらに新規の胎児治療の開発と臨床応用に向けて努力がなされていますが、治療にまつわるエビデンスの確立から社会的な認知に向けての道は平坦ではありません。この活動においては複数の分野の専門家が協調する必要がありますので、まさに本学会がその活動拠点として最適であると考えます。毎年の学術集会の議論を通じて、その後に向かうべき方向性を共有できればと思います。

 第19回学術集会では、すでに臨床試験が終了した先天性横隔膜ヘルニアに対するFETO、現在臨床試験が行われている脊髄髄膜瘤に対する修復術に関するワークショップを計画しています。胸腔羊水腔シャントに関する座談会では、みなさんの経験(治療困難症例への対応、手術のコツなど)をざっくばらんにお話いただく予定です。諸外国と比べて日本の小児医療の水準は極めて高く、したがって海外から発信されたエビデンスのみを参考にして治療体系を構築することには違和感があります。適時の胎児診断、治療のストラテジー、出生後の管理法などについて議論し、日本で次の10年に向かうべき方向性について共通認識が得られればと思います。胎児治療を実施している医師に限らず全ての周産期医療に関わる方に有用な情報が発信されることが期待されます。

 会場の大阪国際交流センターは大阪市の上本町にあります。上本町は豊臣秀吉の大坂城下の時代から活気のある地域であったようです。”ミナミ”エリアにも近いため、周辺には大阪を気軽に楽しめる場所が沢山ございます。みなさまのご参加を上本町でお待ちしております。

第19回日本胎児治療学会学術集会
会長 石井 桂介
大阪母子医療センター 産科

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