MRSAフォーラム2020

ご挨拶

MRSAフォーラム 2020 in OSAKA
当番世話人  吉田 耕一郎
近畿大学病院安全管理部感染対策室 教授

 MRSAフォーラム2020 in OSAKAのWeb開催にあたり、ご挨拶申し上げます。

 本フォーラムは本来、2020年7月4日に開催すべく準備を進めておりましたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延にともない、感染拡大防止の観点から1年間の延期をさせていただきました。一般演題をエントリーしてくださっていた先生方や、企画講演、シンポジウム、セミナーなどのご講演、ご司会をお務めいただく予定となっておられた先生方、さらには本フォーラム開催にあたり、多大なご支援をいただきました各企業の関係者の方々にはご心配やご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。
ただ、国内の新型コロナウイルス感染症は一年の延期期間を経てもなお、収束には程遠い状況です。2021年の夏に大阪 千里の地で開催予定としておりました本フォーラムは、
参加いただく皆様方の感染防止の観点から、MRSAフォーラム 2020 in OSAKAのタイトルまま、2021年7月10日、Web上で開催とさせていただくことになりました。

 黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの割合は、感染制御の充実と浸透により減少傾向をたどっているものの、現在でも本菌種は院内感染症の原因菌として極めて重要な位置を占めています。また、市中感染型MRSAの広がりと院内への持ち込み、家畜におけるMRSA感染症など、病院内外で解決しなければならない問題も多く残されています。

 2021年には、制度上antimicrobial stewardship (AS) teamが多くの施設に配置されて4年目を迎えます。MRSA感染症の診断や治療への支援がどのような効果をもたらしているのかの検証が行われつつあり、この領域におけるASの臨床的アウトカムの向上にも期待がかかります。

 本フォーラムでは従来の予定通り、『MRSA感染症診療を再考する』をテーマとして掲げ、これを補足するサブタイトルは『診断のタイミングと抗MRSA薬の適剤適症』としております。遅滞ない診断やその正確性、検査方法の進歩とその運用・評価法、あるいは感染症診断の重要性の啓発などに改めて注目し、議論する場を準備したいと考えています。同時に、正しく診断されたMRSA感染症に対して、限られた抗MRSA薬をどのように使い分け、また使いこなすのかに関しても、意見交換の時間を設ける予定です。各領域の専門家に示唆に富むご講演をお願いすべく準備を進めてまいります。

 一般演題も広く募集させていただきました。MRSAに関する基礎研究はもちろん、症例報告や臨床検討成績、院内感染対策やASの成果報告など、日ごろの研究成果をご発表いただきたいと思っています。

 新型コロナウイルス感染症蔓延の最中、ご参加いただける皆様と大阪 千里で時間を共有しながら直にMRSAについて語り合うことはできませんが、Web上でのディスカッションや、オンデマンドでの視聴を可能としております。
実りある集会となりますよう、MRSAの基礎と臨床、感染対策、ASにかかわるすべての職種の方々のご参集をお待ちしています。