日本精神保健看護学会第37回学術集会・総会

ご挨拶

日本精神保健看護学会第37回学術集会・総会
会長 寺岡 征太郎
帝京大学 医療技術学部看護学科 教授

日本精神保健看護学会第37回学術集会・総会
会長 寺岡 征太郎
帝京大学 医療技術学部看護学科 教授

このたび、日本精神保健看護学会第37回学術集会・総会を、2027年5月29日(土)・30日(日)の2日間、帝京大学板橋キャンパスにて開催させていただくこととなりました。学術集会長を拝命し、大変光栄に存じますとともに、精神保健看護の未来を皆様とともに考える機会を担う責任の重さに、身の引き締まる思いでおります。
会員の皆様をはじめ、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

本学術集会のテーマは、「未来へ拓く精神保健看護― 誰もが抱える脆弱性を手がかりに ―」といたしました。
私はこれまで、精神科看護師として、そして精神看護専門看護師として、多くの人々の苦悩や回復の歩みに寄り添ってきました。そのなかで、患者さんの苦しみの前で無力さを感じ、何が最善だったのか答えを見いだせずに悩んだことも少なくありません。また、研究者や教育者として精神保健看護に携わるなかで、支援者の葛藤や疲弊、組織の揺らぎにも数多く向き合ってきました。
振り返ると、私自身の実践や研究、教育を支えてきたのは、「うまくケアができた」という体験よりもむしろ、そのような迷いや葛藤、揺らぎの経験だったように思います。

精神保健看護はこれまで、さまざまな生きづらさや困難を抱える人々に寄り添い、その回復や希望を支える実践を積み重ねてきました。しかし、私たちが向き合う「脆弱性」は、支援を必要とする人だけのものではありません。患者や家族だけでなく、支援者もまた迷い、傷つき、組織もまた揺らぎながら存在しています。
本学術集会のテーマとして「脆弱性」を掲げたのは、弱さを語るためではありません。私たちが注目したいのは、脆弱性のなかにこそ存在する、人と人とがつながる力であり、新たな実践や研究を生み出す可能性です。
いま私たちは、人々の生きづらさや孤立への支援に加え、複雑な倫理的課題への対応、そして支援者自身が葛藤や傷つきを抱えながら実践を続ける現実にも向き合っています。そのような時代だからこそ、脆弱性を克服すべきものとして捉えるのではなく、人が人を支える営みの原点として見つめ直したいと思います。

本学術集会では、それぞれの立場から脆弱性を見つめ直し、その意味をともに考えます。そして、脆弱性を手がかりとして、より良いケア、より良い関係性、より良い組織を探究し、その先にある精神保健看護の未来をともに切り拓きたいと考えています。

帝京大学板橋キャンパスは、地域に根ざした医療・教育・研究の拠点として、多様な人々の暮らしを支える実践が日々行われている場所です。人々の生きづらさや回復に向き合う医療、次世代の看護職を育む教育、新たな知を創出する研究が交差するこの地で、皆様と対話を重ねながら、精神保健看護の新たな可能性をともに探究できることを楽しみにしております。

本学術集会が、脆弱性を新たな可能性として捉え直し、参加者一人ひとりが実践や研究への希望と勇気を持ち帰る機会となることを願っております。
多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

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